警備員指導教育責任者とは?取得メリットと難易度

施設警備業務検定・交通誘導警備業務検定は、現場での実務能力を証明する資格でした。一方、「警備員指導教育責任者」は、後輩や部下を指導・教育する立場に必要な資格です。現場のプレイヤーとして評価されたい人は検定を、教育・管理する立場を目指したい人はこの資格を、というのが基本的な位置づけの違いです。

警備員指導教育責任者は、営業所ごと・業務区分ごとに選任が義務づけられている資格でもあります。会社にとって欠かせない存在になれる分、キャリアアップの実感を得やすい資格でもあります。人に教える事が好きな人、教育・指導に興味がある人には、特に向いている資格と言えます。資格を持つ人が退職・異動すると、営業所はその業務区分の警備を続けられなくなるため、会社側から見ても優先度の高い人材投資先になります。

この記事では、警備員指導教育責任者の受講資格、業務区分、取得方法、難易度を整理します。

この記事でわかること

  • 1号〜4号、4つの業務区分と、それぞれの対象業務
  • 受講資格(5つのいずれかを満たせばよい)と、新規・追加取得講習の違い
  • 修了考査の難易度・合格率と、取得するメリット
目次

警備員指導教育責任者とは

警備員指導教育責任者は、公安委員会から交付される資格者証を持ち、警備業務に関する専門知識・技能をもとに、警備員への指導・教育・監督を行う立場の資格です。2005年11月施行の改正警備業法により、営業所ごと・取り扱う警備業務の区分ごとに、この資格者を選任することが義務づけられています。

つまり、警備会社は業務区分ごとに、この資格を持つ人を必ず置かなければなりません。会社にとって欠かせない人材になれるという点が、この資格の大きな特徴です。

具体的にどんな業務を担うのか

警備員指導教育責任者は、警備業法や施行規則に基づき、警備員に対する指導・教育・監督業務を担います。新しく入社した警備員への新任教育、現任の警備員への定期的な教育、現場での指導・監督などが主な役割です。道路や駐車場での警備のように、車の出し入れのタイミングを誤ると大きな事故につながりかねない業務もあるため、専門知識を持って他の警備員を監督できる人材が必要とされています。教育計画の立案や、教育内容の記録・管理も、指導教育責任者の重要な業務のひとつです。新任教育・現任教育の実施記録は、公安委員会による立入検査の際にも確認される項目で、単に教えるだけでなく、教育の実施状況を適切に管理する役割も担っています。

4つの業務区分(1号〜4号)

警備員指導教育責任者の資格は、業務区分ごとに分かれています。

区分対象業務
1号施設警備・常駐警備
2号交通誘導警備・雑踏警備
3号貴重品運搬警備・核燃料物質等危険物運搬警備
4号身辺警備

資格者証は区分ごとに交付されるため、複数の区分を担当する営業所では、区分ごとに資格者を選任する必要があります。同じ営業所で施設警備と交通誘導の両方を請け負っている場合、1号・2号それぞれの資格者を別に置くか、両方の資格を持つ人材を確保するかを検討する必要があります。施設警備の実務については施設警備の仕事内容とは?出入管理・巡回・受付のリアル、交通誘導警備については交通誘導警備はきつい?向いている人と機械警備・施設警備との違いで解説しています。

受講資格|5つのいずれかを満たせばよい

講習を受講するには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 受講する区分の警備業務に、最近5年間で通算3年以上従事している
  • 受講する区分の警備業務検定1級の合格証明書を持っている
  • 受講する区分の警備業務検定2級の合格証明書を持ち、交付後1年以上継続してその業務に従事している
  • 受講する区分の旧検定1級に合格している
  • 受講する区分の旧検定2級に合格し、合格後1年以上継続してその業務に従事している

資格を持っていなくても、「直近5年間で通算3年以上の実務経験」があれば受講できます。施設警備業務検定や交通誘導警備業務検定を先に取得していれば、実務経験が浅くても受講資格を得やすくなるという関係にあります。

受講の流れ

申込みは、電話受付・書類提出・受講料納入という順で進むのが一般的です。実務経験で受講資格を満たす場合は、勤務先の警備会社から「警備業務従事証明書」を発行してもらう必要があります。過去に働いていた会社が廃業している場合など、証明書の取得が難しいケースもあるため、早めに準備しておくと安心です。定員が決まっている講習も多いため、希望の日程で受講したい場合は、早めの申込みをおすすめします。

新規取得講習と追加取得講習

講習には2種類あります。

新規取得講習

初めてこの資格を取得する人向けの講習です。基本部分と業務別の内容の両方を学ぶため、講習時間・費用ともに高めになります。受講料の目安は、1号47,000円前後、2号・3号38,000円前後、4号34,000円前後です(別途、交付手数料9,800円が必要)。基本編では警備業法・関係法令など全区分共通の内容を学び、業務別編では担当する区分特有の教育技法や現場管理について学びます。

追加取得講習

すでに他の区分の資格を持っている人が、別の区分を追加で取得するための講習です。基本部分が免除されるため、新規取得より講習時間が短く、費用も抑えられます。1号23,000円前後、2号・3号14,000円前後、4号10,000円前後が目安です。

※受講費・教材費は年度や地域により変わる場合があります。受講時は各都道府県警備業協会の最新情報を確認してください。

修了考査の内容・難易度・合格率

講習の最終日には、筆記試験による修了考査があります。

講習種別問題数・時間合格基準
新規取得講習40問・100分80%以上
追加取得講習14問・35分80%以上

合格率は都道府県による差はあるものの、全国的に見て70〜90%程度とされています。決して難易度が高い試験ではなく、講習内容をしっかり理解し、問題集で過去の出題傾向を確認しておけば、十分に合格を目指せます。

対策のポイント

講習では、基本編(警備業法など全区分共通の内容)と業務別編(担当する区分に特化した内容)の教本・問題集が配布されます。教材費は数千円程度ですが、講習費に含まれている場合もあります。新規取得講習は講習・試験を含めて6〜7日間程度かかることが多く、範囲も広いため、講習で指摘された注意点をその都度メモし、最終日の修了考査までに繰り返し復習しておくことが合格の近道です。仕事をしながらの受講になる場合、講習期間中の勤務調整が必要になることも多いため、事前に上長へ相談し、無理のないスケジュールで臨めるようにしておくと安心です。

取得するメリット

選任義務があるため、常に需要がある

法律で選任が義務づけられている資格のため、警備会社にとって、この資格を持つ人材は常に必要とされます。新しく人が入ってくる会社ほど、需要は高まりやすい構造になっています。会社の規模を拡大したい経営者にとっても、この資格者の確保は事業計画に直結する課題です。新しい営業所を開設する際や、新しい業務区分に参入する際にも、資格者の選任が前提条件になるため、事業展開そのものを左右する存在ともいえます。

会社の中枢を担う立場になれる

資格に相応するポジションになれば、会社の運営そのものに関わる役割を担うことになります。指導・教育を通じて後輩の成長に関わる、独自のやりがいも得られます。自分の指導で警備員が育っていく実感や、自分が動くことで会社の業務区分が維持されているという実感は、現場のプレイヤーとは異なる種類の達成感につながります。現場から班長・現場責任者、さらに管理者へとキャリアを積んでいく道筋については、警備員のキャリアパス|現場から班長・現場責任者への道で詳しく解説しています。

収入アップ・キャリアアップにつながりやすい

資格手当や、管理職への足がかりとして評価されやすい資格です。今の会社で評価を上げていきたい人には、警備員が年収を上げる方法|資格・役職・同業他社で収入アップもあわせて参考にしてください。警備員としてのキャリアパス全体は、警備員を辞めずに改善する方法|現場変更・夜勤調整・同業他社という選択肢でも整理しています。

こんな人に向いている資格

次のような傾向がある人には、特に向いている資格です。

  • 後輩に仕事を教えるのが苦にならない、むしろ好きな人
  • 現場のルールや手順を、なぜそうするのかまで説明できる人
  • プレイヤーとしてだけでなく、会社の運営にも関わりたい人
  • 今の職場に長く定着し、キャリアを積み上げたい人
  • 資格手当や役職を通じて、着実に収入を上げたい人

逆に、現場での実務そのものに集中したい人や、指導・管理よりもプレイヤーとしての専門性を追求したい人には、施設警備業務検定や交通誘導警備業務検定のような検定資格のほうが向いている場合もあります。

警備員指導教育責任者と他の資格の違い|自分に合うのはどれ?

警備員指導教育責任者のほかにも、警備の仕事に関連する資格はいくつかあります。証明できる能力や向いている人がそれぞれ違うため、自分がどの方向に進みたいかに合わせて選ぶことが大切です。

資格証明できること向いている人
警備員指導教育責任者(本記事)部下・後輩を指導する立場の適性教育・管理する立場を目指す人
施設警備業務検定施設警備の実務能力施設警備の現場で専門性を高めたい人
交通誘導警備業務検定交通誘導警備の実務能力交通誘導の現場で専門性を高めたい人
電気工事士2種など設備管理系資格警備業界の外でも通用する専門技術警備業界から別の業界へ転職したい人

「現場で評価されたいか」「教育・管理する側に回りたいか」「業界に残るか、外に出るか」——この3つの軸で考えると、自分に合う資格が見えやすくなります。資格全体の一覧は警備員から目指せる資格一覧|転職に役立つ資格とスキルアップ、警備業界の外に出る選択肢を具体的に知りたい場合は警備員からビルメン・設備管理へ転職できる?向き不向きと資格・求人の見方もあわせて読んでみてください。

? よくある質問

警備業務検定を持っていなくても受講できますか?

できます。受講する区分の警備業務に、最近5年間で通算3年以上従事していれば、検定を持っていなくても受講資格を満たせます。検定はあくまで受講資格を得るための手段のひとつです。

複数の業務区分の資格を取得できますか?

できます。すでにいずれかの区分の資格を持っている場合、追加取得講習を受講することで、別の区分の資格も取得できます。新規取得より短時間・低費用で済みます。

修了考査の難易度はどのくらいですか?

合格率は全国的に70〜90%程度とされ、難易度が高い試験ではありません。講習内容を理解し、問題集で対策すれば十分に合格を目指せます。

資格に更新は必要ですか?

資格者証自体に有効期限はありません。ただし、資格者として選任されている間は、法令改正や実務の変化に対応するための現任講習を受ける機会があります。詳細は所属先の警備会社や警備業協会に確認してください。

施設警備業務検定・交通誘導警備業務検定と、どちらを先に取るべきですか?

現場での実務能力を示したいなら検定を先に、教育・管理する立場を目指したいなら指導教育責任者の受講資格(実務経験3年以上等)を満たしてから、この資格を目指すのが自然な流れです。両方取得すれば、現場力と管理力の両方を証明できます。

受講に必要な書類は何ですか?

実務経験で受講資格を満たす場合は、勤務先(または過去の勤務先)が発行する警備業務従事証明書が必要です。検定資格で受講資格を満たす場合は、検定合格証明書の写しなどが必要になります。詳細は申込先の警備業協会に確認してください。

受講から資格者証の交付まで、どのくらい期間がかかりますか?

講習は数日間で終わりますが、修了考査合格後、資格者証が実際に交付されるまでは数週間〜1ヶ月程度かかるのが一般的です。急ぎで選任が必要な場合は、申込み時に交付までの目安期間を主催団体に確認しておくと安心です。

指導教育責任者になったら、現場に出なくなりますか?

会社や役職によります。教育・管理業務が中心になる場合もあれば、現場業務と兼任するケースも多くあります。小規模な営業所ほど、資格者自身が現場に出ながら指導・教育も担う働き方になりやすい傾向があります。

4つの区分のうち、複数を同時に受講することはできますか?

同じ講習内で複数区分をまとめて受講することはできず、区分ごとに個別の講習を受ける必要があります。ただし、最初に1つの区分で新規取得講習を修了していれば、2つ目以降は基本部分が免除される追加取得講習で対応できるため、トータルの負担は抑えられます。

まとめ|会社に選任義務がある分、キャリアの実感を得やすい資格

警備員指導教育責任者は、営業所ごと・業務区分ごとに選任が義務づけられている資格です。受講資格は実務経験3年以上など複数のルートがあり、検定資格を持っていなくても挑戦できます。修了考査の合格率も70〜90%程度と高く、決して手が届かない資格ではありません。

選任義務がある分、会社にとって欠かせない人材になれるのが、この資格の最大の特徴です。指導・教育を通じて後輩の成長に関われる、現場のプレイヤーとは違うやりがいも得られます。現場での実務能力を証明する検定資格と組み合わせれば、警備業界の中でのキャリアの幅を大きく広げられます。教育・指導が好きな人にとっては、資格取得後のキャリアの伸びしろも大きい分野です。まずは自分が担当している業務区分で、受講資格を満たしているかを確認してみてください。

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